Linuxデスクトップ元年は来ない。敵は窓。
最早、Linuxはエンジニアのおもちゃではない。最新のDEはメジャーなOSたちと遜色のないUI, UXを提供する。しかしそれには、いくつかの大きな敵が存在する。
ここ最近のLinux Desktop Environment(DE) 事情
まず、最新の主要なDEはwindowsやmacOSなどの他のメジャーなOSのデスクトップと遜色ないレベルのUIを提供する。また、Linuxのコア部分であるlinux kernelやドライバは一部を除き極めて安定している。1
有名どころのDE(gnome, KDE)を使えばパッケージマネージャーなどもGUIで付属する。そうなると、最早ターミナルを使わずともLinuxを使うことが出来るのである。
不安定な王様
あくまで私の印象であるが、多くのプログラマはWindowsというOSに対してあまりいい印象もっていない。少なくとも私の周りには。またはWSLに籠もってしまう人も見かけるように見える。
これはN=1な事例で申し訳ないが私が数カ月前に使っていたwindows11はthunderboltで4Kモニターに接続すると、解像度は不安定であまり使い続けたいとは思わせない動作であった。しかし、Linuxで同じことをしても特に問題は起きずにフル解像度で快適に使用できた。
この問題はlaptopの内蔵GPUで動作させていたことなど様々な理由が考えられるが、ここで1つ目に大切は事実は、同一のコンピューターにおいてwindowsは4kモニターに安定接続もできないが、Linuxでは安定して接続できたということである。
プログラマとしては4kモニターは必須ではないにしろあったら嬉しい機器である。これが安定もしないというのはビジネスユースとして問題があるだろう。私はここ1,2ヶ月はwindowsを使ってもないので現在、この問題が解決したかどうかは知り得ないし、この話では解決しかかどうかなど、些細な問題である。
大事な事柄は4kモニターに対応してるかどうかではない。一般的な周辺機器の一般的な使用も安定しないOSが有償製品としてリリースされているということである。
また最近になってようやく更新してシャットダウンで再起動してしまう問題が解決されたとのニュースがあった。これだって長年、既知の問題を放置し続けていたわけである。技術的な解決が出来ないならその機能をオフにするとかや利用はあったはずなのに放置していた。
しかし、Windowsは現実問題としてビジネスを寡占している。これはWindowsが素晴らしい、文句のつけようのないOSというわけではない。officeなどの絶妙にギリギリ使えるソフトウェア郡で囲ってwindowsを使わせているのである。Appleの鳥かごは適切な餌と住環境が与えられるが、MSの鳥かごは粗悪な餌と掃除のされない籠なのである。カスのエコシステムである。
王様としてはあまりに卑怯な戦法である。
しかし、ビジネス(に限らないが)ユースとしては取引先などの周辺との互換を維持しなければ選択肢にもならないだろう。実行ファイルはexeじゃないと、エクセルがネイティブで動かないとなどなど互換性は2025年になっても根深い溝であるし、26年に解決する展望もない。民衆は愚王だからと見切りをつけて1人で生きていけるわけではないのだ。
敵2: Adobe。敵ではないかも知れない。
正直に言おう。私は使ってない。 一応組織の契約で利用はできるがメイン環境がLinuxなってから使っていない。というより使えない。
Adobeは基本的にwindows, mac以外のOSに対応していない。モバイル系にはあるが今回は触れない。実のところ Adobe以外にもメジャーだが対応していないツールは多い。特に業務ツールはLinuxサポートをすることが少ない。業務アプリケーションとしては使用率の高い製品がLinuxでは動作しないとなると、大きな障壁であるだろう。
しかし、adobeなどがLinuxをサポートしないと言うのは、少なくとも2025年においてはあまり糾弾できるような問題ではない。ソフトウェアを売っているという時点で、ユーザーの数がいない環境に対応することは難しい。
ここで、1つの光がある。Webアプリケーションである。既にadobeはphotoshopなどの一部はwebアプリ化している。ただ、動画編集ソフトであるPremiere Proなどは対応されていないし、今後も難しいだろう。
もしweb化が進めばブラウザが動けばどんなOSでも動作するマルチプラットフォームなアプリケーションがリリースできるのだが、動画編集などの高負荷, ファイルシステムとの常時通信するような製品のweb化は難しいだろう。
ただ、もしLinuxユーザーが増えればadobeもネイティブのアプリケーションとして対応するメリットが生まれるわけで、そうなるとLinuxユーザー数を増やすことが一番の近道なのだが、主要製品のサポートがないOSを増やすことも難しい。いたちごっこ reverse versionなのである。負のいたちごっごである。
用意はある。が、壁は高いし溝は深い。
ここまでの通り、Linuxはターミナルを使わずとも普通に使えるレベルまで進化してきたわけだが、実務的に使用するにはまだ多くの障壁がある。周りとの互換、必須アプリケーションの非対応、などなどOSとしての完成度のはるか上のレイヤーにおいて数多の問題を抱えている。否、勝手に抱えさせらているのだ。
また、ここまで言わなかったがどうしてもLinuxに関する問題の解決は技術系に寄ってしまう。冒頭でも言ったようにlinuxはエンジニアが好んで使っているという経緯もあるため、問題に対する解決法は世に大量にある上に、ソースコードが公開されているため技術力の高い人間ならば自己解決すら可能である。
そういった内容の記事やディスカッションもstackoverflowやgithub, blogなどに大量にある。しかしそれはあくまでエンジニアやプログラマに向けたもので一般ユーザが行うには少しハードルが高いことも多い。また、社内の情報システムの管理を行う(所謂 情シス)も基本はwindowsを管理する訓練を受けている。いきなりlinuxをサポート出来るほど暇な情シスはいないだろう。そういったサポートという点でもLinuxへの移行ハードルは高い。そもそも管理者権限ないと直らない問題も多い。2
最後に、この記事ではビジネスユースについて語ってきたが、個人ユースならもう少し未来は明るい。これは完全な偏見であるが今windowsを使っているユーザの内、半分はゲームだろう。これに関しては約90%のwindowsゲームがlinuxでも様々な互換レイヤーなどを介して動作するという話もある。3
また個人で使うようなソフトウェアはWebに互換があったりとそこまで困ることは減っているように思える。(音楽やデザイン系はwin/macオンリーなことが多いことには注意がいるが)
また、ビジネスに関しては https://japan.zdnet.com/ などで扱われることもあるので見ておくといいかも知れない。
Footnotes
-
“一部の”というのはNvidiaなどの特定のメーカーのドライバなどを最適化するにはプロプライエタリなドライバを導入する必要性がある。 ↩
-
実際はRedHat社などの有償でlinuxのサポートを行っている企業もある。(ただあくまで印象なのだが社内の個人コンピュータというよりワークステーションなどのサポートな気はする) ↩
-
https://www.techpowerup.com/342337/almost-90-of-windows-games-run-on-linux-notes-report, https://www.protondb.com/ ↩